第一章 『タリス』 ７
ジャンゴ 「俺の事を忘れてもらっては困るぜっ！」
ジャンゴは 背後からタリスを切りつけた。
タリス 「ぐっ！！」
タリスは 前のめりに倒れ込んだ。
パイロ ロウ ロックル
タクラム 「くそっ 炎 魔 召還！」
炎がジャンゴを 取り巻いた・・・・が、
その渦が急に弱まり、飛び散ってしまった。
ジャンゴ 「言い忘れたがこのアーマーは一切の魔法を受け付けん。」
タリス 「そうかい・・・ならば実力勝負だ！」
タリスは剣を杖に立ち上がった。
しかしかなりのダメージを受けているのでフラフラしている。
ジャンゴ 「ほう まだ息が有ったか
ならば一気に息の根を止めてくれよう！」
ジャンゴは巨大なソードを振りかざし、間断なく降り降ろしてくる。
がたいは大柄だが全くそれを感じさせない速さで剣を振り回す様は
まるで手が５，６本ある鬼人のようだ。
タリスは 押されながら剣を受け続けた。
ジャンゴ 「おらおらおら 避けるだけでせいいっぱいか 若僧め！」
ジャンゴはなおも攻撃を緩めずに剣を叩き付ける。
タリス 「ふざけるなっ この熊野郎！」
タリスは降り降ろされた剣を持つ太い手を目掛けて切りつけた。
ジャンゴのガントレットが２つに割れ、大きく身をかわした。
ジャンゴ 「そうこなくちゃな・・・殺し甲斐がねぇってもんよ」
ジャンゴは大きく上段に構えた。
タリス 『・・・俺に、できるか？！・・』
タリスは片膝をついた。
ジャンゴ 「へっ！ 諦めたか若僧！」
そして、右手でグリップを逆手に握り、左手をハンドルの尻に置いて
右下段に構え、そのグリップを眼前に置いて目を閉じた。
タリス 『奴に 神経を集中するんだ・・・見切らないとやられる！』
ジャンゴ 「ふっ 何だその構えは？ 命乞いか？！」
タリス 「バカに乞う命など持たぬ。」
ジャンゴ 「なっ なにおぅっ！」
ジャンゴはカッと頭に血が登り、満身の力を込めて剣を降り
降ろしてきた。
タリス 「見えたっ！！」
タリスはカッと目を見開き迫ってくる剣に合わせて、下段から
剣を走らせる。
ジャンゴ 「フンッ 受け身だと？！ なまくらごとたたっ斬ってくれるわ！」
ガンッ タリスは剣の切っ先をジャンゴのブロードソードの根元に
叩き付けた。
ジャンゴは慌てたように剣を引いた・・・が、
剣はやや鈍い音をたてて根元から折れ落ちた。
その隙をついてタリスは水平にジャンゴの胴体に切り掛かった。
キィーーーーーーーーーーーーーーン
鋭い 音がして ジャンゴは前のめりに膝を折った。
しかしジャンゴのアーマーは100Mermほどの亀裂が入っただけだ。
ジャンゴ 「ケッ！！ 結構な隠し玉を持ってるじゃねーか。
今のは効いたぜ！」
タリスは剣を構えなおした。
・・・が、剣の切っ先から大きなひびが入っているのが見える。
タリス 「こ、 こいつぁまずいぜ(^_^;)」
とっさに腰からマインゴーシュを抜いたが、これでは刃が立ちそうに
ない・・・。
その時、タリスの腕になにかが絡み着いた。
タリス 「？？」
ロンメル 「おほほほ 動くと腕が落ちますよ」
タリス 「なにっ ？！！」
ジャンゴ 「遅かったじゃねぇか」
ロンメルは絡めたワイアーをピンと張りながら起きあがった。
ロンメル 「かなりの霊剣ですわね・・・再生に時間が掛かってしまいましたよ。」
ジャンゴ 「そろそろ遊びは終わりにしようぜ。」
ジャンゴは背中からもう一本剣を抜き飛びかかってきた。
タリス 「クッ ・・・ だめだっ！」
しかし降りおろされた剣は、後ろの壁に食い込みタリスの肩の所で
とまった。
そして、ジャンゴの体がみるみるうちに崩れ落ち、白骨化していった。
外の方からなにやら呪文のようなものが響いている。
『ウォーム ウォーライ ディ ラ スモーム エト ソウル ディス フォイム ラ ル セーゼ ・・・・』
『悪しき死人使いよ、早々に立ち去るがよい』
ミム 「師匠っ！」
ロンメル 「おほほほ どなたかは存ぜぬがよくぞ見破った。」
ロンメルはヨマに向かってワイアーを放った。
ヒユッ・・・ルルルルルルルルルルルル・・・・クンッ
ワイアーはヨマのローブに絡み着いた。
ロンメル 「バカめ、素直に掛かりおったわ。
真っぷたつに切り裂いてくれる。」
ロンメルはヨマに掛かったワイアーをピンと張りつめた。
しかしワイアーは張ったままだ。
ヨマ 「何をしておる・・・この年寄りも切れぬかの ほっほっほ
ではこちらから参るぞ。
パイロ ロウ ロックル
炎 魔 召還！」
タリスを繋いでいるワイアーが灼熱し溶け落ちた。
ロンメル 「へっ！ 甘いじじいめ。」
ロンメルはそのままもう一本のワイアーをヨマの首に絡めた。
ヨマは目を閉じて言った。
ヨマ 「愚か者め・・・・墓穴を深めおって。
ディアス アトモス ローディア エン フォーティナス フィルギム ディ シャンク ディエス アス エルフォイ
全能なる天空の神よ 雷をもて眼前の敵を滅せよ
フィルギアス ロード シャーマン
雷 神 豪来！」
ヨマの頭上から一條の稲妻が走り、ヨマの体が輝き始めた。
その雷光は、絡み着いたワイアーを走り、一直線にロンメルの体を
貫く。
ロンメルは、炎を上げる間もなく黒こげになって床に崩れ落ちた。
タリス 「かたじけない ヨマ。
・・・・死ぬかと思ったよ。」
タリスはその場に座り込んだ。
ヨマ 「スティン殿の気が無くなったので慌ててきてみたが・・・」
タリス 「おやじは昨日、この家の剣士と戦って死んじまったよ・・・」
ヨマ 「なんと・・・そうであったか・・・実に惜しい男をのぉ・・・
して、このものどもは？！」
タリス 「さぁね おおかた賞金に目が眩んで俺を殺しに来たんだろう。」
ヨマ 「タリス殿、そなたはこんな所で死んではならぬお方じゃ。
間にあって良かったわい。
しかし 多少修行が足りませぬぞ。」
タリス 「ああ、敵の姿も見極められなかったからなぁ、情けないよ」
結局ロンメルを除く３人は全て死人だったようで、部屋には悪臭が
漂っていた。
一行はとりあえず死体を片付け、全てを忘れて眠る事にした。
タリスの旅立ちは ここで一端ストーリーを海の悪魔『ドレイク』の
登場シーンに引き渡すこととなる。
