風車

　からからから・・・・
　　　からからからから・・・・

じりじりと照りつける陽光の元
乾いた風が吹き抜ける

風は陽炎さえも消し飛ばし
かつては栄えたこの町を
無慈悲に笑いながら通り過ぎてゆく

　からからから・・・・
　　　からからからから・・・・

ほんの数年前、ここで男たちは笑い　泣き　狂気した。
ほんの一掴みで巨万の財をなすと言われる
その黄色に輝く小さな屑をかき集め
誇りと絶望をこの地に刻みながら

あるものは持ちきれぬ袋を笑いながら引きずり
あるものはそれをカードで巻上げよと思惑する。

しかし　その屑を集める水のような銀色の液体は
その魔性の瘴気を容赦無く放ちつづけ

男たちは富の代償として
変わり果て痛みにきしむ骸を大地に捧げる事となった。

　からからから・・・・
　　　からからからから・・・・

残されたのは無数の十字架と小さな教会の鐘

　からからから・・・・
　　　からからからから・・・・

じりじりと照りつける陽光の元
乾いた風が吹き抜ける
はるか遠く千里の果てまで

　からからから・・・・
　　　からからからから・・・・

かつて聞こえた笑いと狂気を餌に
やがて集まる
次の獲物を誘うように・・・